連休が行楽日和だろうが、初夏めいて来て連日洗濯日和だろうが、
どうだっていいのかそれにかこつけてなのか、
何かと騒ぎが起こる界隈に身を置くせいで、
当方、年中無休で忙しい。
浮かれての人出で慣れない身が引き起こす事故も増えれば、
そんな人出に紛れて こそり暗躍する輩どもの懲りない暴挙も絶えないがため、
天誅に勤しむ方々も大忙しだし、
一般人の方々へ被害が及びそうな騒動が起これば、
鎮圧にと駆り出されるのもセオリーな事務所の方々も、やっぱり休んでる場合じゃアなく。
働き者がバカをみるって、こういうことを言うのかなぁ。
え? そんな言い回しはない?
「そもそも、だからってなんでまた総動員されてるかなぁ。」
問題が生じたとの通報で駆け付けた場所やその道中なんぞで、
微妙な顔見知りとすれ違ったり、相手を見かけたりしたらば、
ゲッと害虫でも見つけたような顔になる人もあれば、
あやや、もしかして標的が重なっちゃってる?と困り顔になる者もいて。
よく言って少数精鋭、いまだ非公認であるがために頭数が限られている武装探偵社はともかく、
こちらは結構な所帯のはずだし、
しょむない裏取引の制圧なんぞ何なら末端の組織も駆り出していいのではというよな案件だが、
上級幹部までもがわざわざ呼び出されたのは、
怒らせたらやばい格の人たちがいるよという顔見世も兼ねているものか。
しかも異能はあんまり大っぴらには発動できぬ。
相手に幾許かでも防御に使える対抗力があればともかく、
どれほどいきがっていても所詮は雑魚の集まり、
それへと幹部格の異能なぞ食らわせたなら、下手を打てば周辺一帯が被害甚大、
建造物やら道路やらが大規模破損となりかねず、
大通りの陥没とか大停電でも引き起こした日にゃあ洒落にならぬからで。
相手との力量差を認めつつ、しゃあねぇなとしつつも地道なもぐらたたきを繰り出していた幹部殿、
面倒なせいでの渋いお顔をしてはおいでだったが、
“……あれって脳内では結構ほんわかしたこと考えてらっしゃるからなぁ。”
異能を持ち出すほどではない現場は、逆にいや直接の大殺陣回りをこなすわけで。
それでも研ぎ澄まされた勘がモノを言い、体捌きはほぼほぼ自然な反射でこなしてしまえる恐ろしさ。
相手が銃器を持ち出していても関係なく、
銃弾の雨あられとか、鋭いナイフ捌き、鉄パイプの振りかぶり等々ひょひょいと避けた上で
手刀一閃、サッと薙ぎ払って数人を一気に沈めるのもお手のもの。
時間がなければ重力操作で押しつぶすなり、現場に散らばる様々なものを飛礫にするなりと、
瞬殺する策も様々にあるが、手も触れないで勝負がついていては不味い段取りもあるわけで。
なのでと ほぼほぼ流れ作業のレベルで、
降ってくるへなちょこな拳や鉄パイプの攻撃を左右へ捌いたり、
刃物なぞがお出まししたなら、はっしと受け止めへし折って差し上げたりと、
結構細やかに対処していなさるが、
“牛肉のパストラミ、仔羊の香草焼き
もっとがっつりしてる方がいいのかな、
いっそサーロインステーキと豚カツとか、”
「中也、献立へのよそ見で上の空になっておるぞ」
「おう、すまねぇ、姐さん。」
手を抜いていい現場はない。
うっかりやり過ぎて無駄に殺生してしまって、
公的にはうやむやに出来ても、関係筋との立場の兼ね合い上、
辻褄合わせにあとから実行者を軍警あたりへ差し出さなきゃならなくなったら洒落にならない。
そういう格好で身内に代理をさせるのは忍びないと思うなら、最初から下手をかくなというもので。
……そういった心掛けが、書類整理とか商談の攻防じゃあなくて、
本当の命のやり取りという鬩ぎ合いなところがマフィアさんではあるのだけれど。(う〜ん)
あまりに格差がある相手でも、だからこその示しをつけるべく幹部格が出張らにゃならないケースだったため、
五大幹部が二人も出てきた現場だが、蓋を開けたら異能者もいない数任せの相手。
この陣容でよくもまあ、ポートマフィアに喧嘩売ったなぁとこっちが呆れた手合いを前に、
ついつい上の空になりかけたのは、
そちらは別の騒動への出動か、
路地の入り口をサッとかすめるように取り過ぎてった一団が、
やや緊迫をはらんでいた探偵社の面々だったから。
向こうさんも動体視力は半端ないため、
一応は巧妙な目隠しや見張りを立てての、派手だがこそりとした裏社会同士の衝突による活劇、
一瞥だけで把握出来ちゃった虎くんだろなと、
こっちも愛しの君なればこそ気配で察してしまった帽子の幹部殿。
向こうは向こうで別口の出動らしいが、こっちの乱闘にも気づいてるだろうなぁ。
電子書簡が来たらそれなりに応じてやろう。
何ならこっちが非を集める格好、現場からの帰りに掻っ攫ってもいいかもしれぬ。
チラ見した携帯端末に出た情報では、向こうも大した騒ぎへの出動ではないらしいし、
異能者が紛れているようなのでと呼ばれた手合い。
太宰の姿もあったので段取りに遺漏がなければあっさり片も付くだろう。
「よっし。」
さあ、これ以上今日の俺をここへ足止めしてたい大馬鹿野郎はどいつだと、
すがすがしいほど凶悪な笑みで口角上げた、ポートマフィアの上級幹部殿。
周囲の部下らが “あ〜あ〜あ〜”と色々察して、
早上がりにして差し上げねばと目くばせし合った皐月のヨコハマでございます。
〜 Fine 〜 25.05.01.
*うかーっとしてたら中也さんのBDだし、敦くんのBD目前だし。
サンデー毎日に拍車がかかってて、
カレンダーさえおろそかになってます。
逆の意味で連休こそお忙しい皆様へは、お疲れ様です。

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